なぜか今頃YUKIについて

最近なんだか少しだけ評判のよいアニメ版ハチクロのテーマ曲がYUKIちゃん(ちゃんづけ以外に呼称がが見つからないというのはすごい!と思うが、かといって呼び捨てもなんだか抵抗があるのは、ひとえに小生が女性を下の名前で呼ぶ習慣がついていないから)のドラマチックって曲だったのです。

で、これをなんとなくふらふらと酩酊した頭で聴いていたら、なんとも切なくなってきたんです。ええもうほんと。
何がって、歌詞よ。歌詞。せつないって言葉も安易だな、
もっとなんつうか、畏怖というか敬虔というか・・・

「こわれた大切なものが いつかまた あえる日が来るかしら」

これね。これ。この1行。これ、おそろしいっすよ。

いやぁ、そりゃさ、小生ももう立派な大人だしさ、歌詞に歌ってる人のパーソナルな事情を重ねて読むことが無粋だってことはわかってんのよ。
それをやりはじめたら、例えば、ちゃっかり金持ちのお嬢さんつかまえといて「なんでもないようなことが幸せだった」虎舞龍のおぢさんは一体なんなのさって話だし。

そもそも、そういう背景を盛り込んだ批評はもう流行ってないわけだし。

でも、やっぱりああいう大きな事故のあった直後では、かわいらしい女性の歌う歌にその背景を見てしまうってのも真実でして。
それはもう、非常にいやらしい、下衆な勘ぐりに過ぎないでしょうが、あえて言わせてもらいます。

つまり「こわれた大切なもの」が何をさしてるかってこと。
いや、まあ、いわずもがな・・・・

さて、なぜここであえてこんな下品な事を書かねばならなかったというと、実は続きがありまして、ここから、YUKI論みたいなものになっていくんですが。

90年代後半〜の日本は最終的に女性アーティストって方々をものすごい勢いで量産した時代だったと思います。ざっと思いつくだけでも、椎名林檎宇多田ヒカルUAPUFFY、アイコ、こっこ。加えて矢井田瞳とか?トミーフェブラリーとか。忘れちゃいけないハロプロの面々やアミーゴなんてのも居ました。

そんな中にあって、小生の中ではジュディマリ・・・というよりYUKIちゃんだけがもんのすごく異質な感じだったんですね。
なんでだかわからなかったんですが。

でも、今回の歌詞を聴いてすごく納得したんですよ。
つまり、YUKIちゃんって人は本能的にもんのすごく他力本願な人なんじゃないかなぁと。
他力本願という言い方が聞こえわるかったら、ナチュラル レットイットビーな人とでもいいますか・・・で、それを悪い意味で言ってんじゃなくてむしろ、そしてそんな女性、YUKI以外に見たことねえ!と。

上であげた女性アーティストって、基本、どっちかだと思うんですよ。つまり自己プロデュースができるクリエイタータイプか、プロデューサーに依存するアイドルタイプか。
端的にいっちゃえば、自分の歌を歌ってるか、つくってもらった歌を歌ってるか。

その中にあって、YUKIちゃんだけは、どっちつかずな感じしませんか?
歌詞だけ書いてあとはおまかせな感じはある。でも、なんとなく、歌詞だけ書いてる他のアイドル(あみーごとか)に比べると芸術家っぽい気もする。
もちろんそれは男ばっかのバンドにおけるヴォーカルというデビューが影響してると思います。でも、結局ジュディマリ以外にこのパターンで成功し、ソロに至ってなお支持をうけ続けている人がいない事を考えるとやはり、そのデビューの仕方以上に、この人のナチュラルな姿勢が問題な気がしませんか?

すなわち、全部を受け入れた上で、文句言わない感じ。
んでもってすべて受け入れるという行為を作品にとしてしまえている感じ。

この、自己プロデュースしてんだかしてないんだかな感じが非常に特殊だと思うんですよ。

で、ドラマチックの歌詞に戻るんですが。

大切なものが壊れてしまった時に、それを絶望してなげくでもなく(勿論無茶苦茶なげいた後だとして)かといってポジティブにふりきれるわけでもなく。
「いつかまた会える日がくるかしら」という受け入れ方をしてしまう。この「かしら」って語尾のものすごさ。
なんつうか、言い方悪いけど、カルト宗教的な・・・・。これを歌えるってとんでもないと思うんですよ。

昔、ジュディマリの後期を見ている頃、あのメルヘン世界へ飛んでいきそうな感じから、なんとなく、この人はビョークみたいになりたいのかなぁなどと思っていましたが、全然違いましたね。
ビョークに感じるメルヘンはなんかせっぱつまったものを感じるんだけど、YUKIちゃんのメルヘンはもっと達観してた。悟りに近いのかも。。。。

で、この境地は男には本質的には絶対に共感できない・・・と思うわけで。

この曲を聴きながら。なんだか、もしかしたら自分はものすごい「女性」を見ているのかもしれないなと、男として思ってしまった今日この頃。本来、女性(母性と言ってもいいのか?)というのはこういう神々しさを持っているのか、それともこのYUKIちゃんが特別なのか・・・・とりあえずおそろしーなーと思ったキャップでした。